「風見鶏」のパン作りは、まず素材選びと徹底した「安心・安全」へのこだわりから始まります。福王子シェフが何よりも大切にしているのは、素材選びや製法にこだわり、天然酵母の力を最大限に引き出すことです。
「うちは天然酵母のパン屋ですから。ホシノ天然酵母を中心に、自分たちの工房で育てた自家製の種(ルヴァンリキッド)を使ってパンを仕込んでいます」とシェフは語ります。市販のイーストに頼り切るのではなく、独自の種を使い分けることで、噛みしめるほどに旨みが増す、奥行きのある味わいが生み出されるのです。
小麦粉についても、そのこだわりは徹底しています。使用するのは「キタノカオリ」をはじめとした国産小麦が中心です。「キタノカオリの全粒粉や、群馬産の小麦など、それぞれの特性を見極めて配合を変えています」国産小麦ならではのもちもちとした食感と、豊かな風味を活かすことが、風見鶏のパンの土台となっているのです。
余計なものを入れず、厳選した素材と酵母の力だけで作り上げる。一見するとシンプルですが、そこには福王子シェフの「お客様に本当においしい、そして安心して食べられるパンを届けたい」という、職人としての揺るぎない信念が込められています。
そんな福王子シェフのパン作りを、半世紀もの長きにわたって支え続けてきたパートナーがいます。それが、よつ葉乳業の乳製品です。
「よつ葉さんは、僕の修業時代からずっと使っているんですよ。かれこれ50年くらいになりますかね」と、シェフは懐かしそうに目を細めます 。まだ今ほど乳製品の選択肢が多くなかった時代から、シェフはよつ葉の品質を高く評価してきました。
特に、風見鶏のパンに欠かせないのが「北海道よつ葉発酵バター 食塩不使用」です。「よつ葉さんのバターには、独特の風味があるんです 。特に焼き菓子やパンを焼き上げた時に、その香りがふわりと立ち上がる。これが他のバターにはない良さだと思っています。」
シェフはこれまで、多くのメーカーのバターを試食し、実際に使ってきました。しかし、最終的に戻ってくるのは、やはりよつ葉のバターだと言います。また、濃縮乳についても「クセがなくて非常に使いやすい」と絶大な信頼を寄せています。
北海道というブランドが持つ信頼感、そして長年変わることのない安定した品質。約50年という歳月は、福王子シェフとよつ葉乳業との間に築かれた、確固たる絆の証でもあります。
クロワッサン
風見鶏を訪れるお客様の多くが手に取る看板商品、それが「クロワッサン」です。このクロワッサンには、福王子シェフならではの独自の理論と技術が詰まっています。
一般的なクロワッサンは、生地とバターを幾重にも折り重ね、27層やそれ以上の多層構造にするのが主流です。しかし、風見鶏のクロワッサンは、あえて「12層」に留めています。
「通常は3つ折りを3回繰り返して27層にするのが基本ですが、うちはあえて層を少なくしています 。なぜかというと、折り込みの回数を増やせば増やすほど、ミキシング(生地を練る工程)をかけすぎてしまい、グルテンが伸びてしまうからです。そうなると、せっかくの粉の香りが消えてしまうんですよ。」
層を少なくすることで、一つひとつのバターの層が厚くなります。すると、焼き上がった際に発酵バター特有の香りが、よりダイレクトに、より力強く感じられるようになるのです。一口かじれば、表面はパリッと香ばしく、中はバターの潤いを含んだしっとりとした食感。そして鼻に抜けるのは、よつ葉の発酵バターならではの芳醇な香りです。
「発酵バターだからこその良さが、一番ストレートに出るのがこのクロワッサン。焼き上がった時の『バター臭』というか、あの香ばしい匂いを感じてほしいですね。」
職人の計算された技術によって、素材の持ち味が引き出された12層のクロワッサン。長年よつ葉のバターを使い続けてきた福王子シェフならではの工夫が込められています。
天然酵母と国産小麦、そして約50年愛し続けるよつ葉の発酵バター。風見鶏のクロワッサンには、福王子シェフが歩んできた職人としての歴史と、素材への深い愛情が凝縮されています。
トレンドが移り変わる中でも変わることのないおいしさ。 その一口には、大地の恵みと職人の技、そして「香り」という最高のスパイスが込められています。今日という日を少し特別にする、風見鶏のクロワッサンをぜひ一度味わってみてください。