「hitotema」という店名には、国産の良質な素材を厳選して「ひと手間」を惜しまない、という深い決意が込められています。
店頭に並ぶパンはなんと70〜80種類。特長的なのは、既存の枠にとらわれない柔軟な商品開発です。たとえば、「あんバター」だけでも、クロワッサンに挟んだもの、塩パンに挟んだもの、バゲットに挟んだものなど、種類が豊富に用意されています。
一見すると、最近流行りの“SNS映え”を意識しているようにも見えますが、箕脇シェフの考えは全く違います。「追求したいのはあくまで『味』と『安心・安全』なんです。自分がさつまいもにバターをつけて食べていて、これをクロワッサンに挟んだら絶対旨いんじゃないか?と思いついて、そのまま商品化したり。純粋においしいと思ったものを形にしていることの方が多いです。」
その「味への妥協なき追求」は、スタッフへの指導にも表れています。お店では月に1回、スタッフ一人ひとりが新作を提案する風土があり、シェフはスタッフに対し「原価や販売価格はとりあえず気にしなくていいから。まずは最高の『味』を求めよう。値段のことはそこから考えればいい。」と伝えているそうです。失敗やコストを恐れず、本質的なおいしさに真っ直ぐ向き合う環境があるからこそ、常に新鮮な驚きに満ちたパンが店頭を彩り続けているのです。
「味」と「安心・安全」へのこだわりは、パンの土台となる素材選びにも徹底されています。
現在、店舗では毎日9種類ほどの生地を仕込んでいますが、そこで使われている小麦粉のラインナップを聞くだけでも、その本気度が伝わってきます。「粉は『ゆめちから』や『春よ恋』『キタノカオリ』『ドルチェ』『タイプER』といった国産小麦を用途に合わせて使い分けています。酵母もルヴァン(自家製酵母)を使っているんです。」とシェフ。
こうした背景には、現代のお客様の「食に対する意識の変化」があると言います。「今のお客様は、パン屋さんがどんな材料を使ってパンを作っているかをすごく気にされます。だからこそ、保存料はもちろん、マーガリンやショートニングといった植物性油脂は使っていません。」
マーガリンやショートニングを使えば、コストを抑えつつパンに柔らかさやボリュームを出すことができます。しかし、箕脇シェフはその道を選びません。こうした姿勢が、多くのお客様から支持される理由のひとつになっています。
クリームチーズあんぱん
マーガリンやショートニングを使わない「hitotema」のパン作りにおいて、油脂の主役となる「バター」はもちろん、「チーズ」の質も、パンのクオリティを左右する重要な要素です。数ある乳製品メーカーの中で、シェフが絶大な信頼を寄せているのが「よつ葉乳業」の製品です。
「うちのお店では、全体の3割くらいのパンにチーズを使っています。その中でもよつ葉さんのクリームチーズはコクがあって味わいに深みがあります。『あ、しっかりチーズを食べているな』という実感が湧くし、当店のパン生地にも本当によく合います。」 店舗ではよつ葉のクリームチーズを使用し、パンのおいしさを底上げしています。
さらに、バターとチーズの使い分けにも技が光ります。人気の四角い「クリームチーズあんぱん」には、中身によつ葉のクリームチーズを使用し、パン生地にはよつ葉の食塩不使用バターを。
看板商品の一つである「塩パン」には、生地に食塩不使用バターを使いつつ、中心に巻き込むのは加塩バター、新商品のフォカッチャには、発酵バターをあえて焦がしバターにして香ばしさをプラスしています。
「初めからよつ葉さんを使っていたわけではないんです。どうしたらもっとおいしくなるか、パンや生地を変えたり、クリームチーズも色々と取り寄せたりして全部試しました。その結果、これがベストだってたどり着いたのがよつ葉さんの製品でした。」
シェフにとって、よつ葉の乳製品はもはや「どれが欠けても困る。なくてはならない存在。」だといいます。国産小麦や自家製酵母で作られたこだわりの生地は、よつ葉乳業の風味豊かなチーズとバターに出会うことで、今日もお客様に喜ばれるパンに仕上げられています。