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牛乳・乳製品の値上がりの背景や価格推移について解説!よつ葉乳業の取り組みについてもご紹介!

乳製品の話

牛乳・乳製品の値上がりの背景や価格推移について解説!よつ葉乳業の取り組みについてもご紹介!

牛乳や乳製品の値上がりには、酪農生産現場・乳業工場における飼料・資材・エネルギー・物流コスト等の上昇が影響しています。今回はその背景について解説します。

公開日:2023年6月14日(水) 更新日:2023年8月2日(火)


牛乳・乳製品が値上がりしている?

最近、「牛乳や乳製品の価格が高くなった」と感じている方は多いのではないでしょうか。

牛乳・乳製品が値上がりしている原因には様々な背景がありますが、その理由の一つとして、酪農家が経営を続けていくのに必要なため、ということが挙げられます。


本記事では、牛乳・乳製品の値上がりの背景や、その必要性について詳しく解説します。

牛乳の価格推移

下記のグラフは、総務省統計局の小売物価統計調査結果で、2013年1月〜2023年1月の牛乳(1000ml)の価格推移を表したものです。


この調査によると、全国で販売されている牛乳(1000ml)の平均価格は、2023年1月時点で232円です。


期間中最も牛乳の価格が安かったのは2013年の2月で、平均価格は188円でした。


2013年頃の価格と比較すると、2023年の価格は約1.23倍になっており、全国のスーパーで牛乳が大幅に値上がりしていることがわかります。

他の乳製品も全国的に値上がりしている

値上がりしているのは牛乳だけではありません。同じ調査によると、バターやチーズ(国産品)、ヨーグルトといった牛乳以外の乳製品の価格も同様に上昇していることが分かります。


では、そもそもなぜ牛乳・乳製品は値上げに至ったのでしょうか?

牛乳・乳製品値上がりの2つの背景

牛乳・乳製品が値上がりしている主な背景として、以下の2つが挙げられます。

<牛乳・乳製品の値上がりの背景>

・牛の飼料代が高騰していること

・燃料・資材価格が高騰していること


それぞれの理由について、詳しく解説していきます。

牛の飼料代が高騰していること

牛の飼料である穀物(トウモロコシ、大豆かす等)や牧草の多くは海外から輸入されています。

急速に進んだ円安や、ロシアのウクライナ侵攻という世界情勢の変化によって牛の飼料代が高騰し、生乳の生産コストが上昇しました。

燃料・資材価格が高騰していること

日常生活でも、電気・ガス・ガソリン等のエネルギー料金や、トイレットペーパーやティッシュ等の資材価格の値上がりを感じている方も多いのではないでしょうか。

同様に、酪農家や乳業メーカーも、燃料・資材価格の値上がりによる影響を強く受けているのです。


これらのことは他の食品産業と状況は変わりません。例えば、酪農家が使用する搾乳機器の電気代、そして乳業メーカーの工場の稼働に伴う電気・ガス代、製品製造に伴う資材費、製品輸送に伴う燃料費など、生乳の生産や牛乳・乳製品の製造・流通・販売にかかる経費も高騰しています。


そのような背景から、牛乳・乳製品を生産して食卓にお届けし続けるための手段のひとつとして、上昇したコストの一部を製品価格へ転嫁させていただいている状況にあります。

牛乳・乳製品の値上げの必要性

現在、多くの酪農家の経営が厳しい状況にあります。

将来の見通しが立たず、離農を決断する酪農家が増えている状況です。


北海道では、2022年2月~2023年1月の1年間で、240件もの酪農家が離農してしまいました。


酪農の将来に希望が持てない状況が続くと、後継者や新規就農者が育たず、離農がさらに加速する恐れがあります。


そこで、乳価の値上げによって、酪農家の経営を支え、経営悪化による相次ぐ酪農家の離農に歯止めをかけ、牛乳・乳製品の原料となる生乳を再び生産できる環境を整える必要があるのです。

牛乳・乳製品の値上げに対する酪農家と乳業メーカーの取り組み

牛乳・乳製品の値上がりに伴い、さらに消費量が減少してしまうことが懸念されています。

そのような状況のなかで、酪農家や乳業メーカーは様々な取り組みを行っています。

酪農家の取り組み

日本の国内で生産できる飼料の量には限りがあるため、酪農家は必要量の多くの部分を輸入飼料に頼ってきました。

しかし、国際情勢の変化により、輸入飼料のコストが高騰したことから、酪農家は国産飼料(牧草やとうもろこしなど)の生産と利用の拡大に取り組んでいます。


また、これまで以上に乳牛の健康維持に取り組むことで、寿命を伸ばし、1頭が一生のうちに生産する乳量を増やすなど、コスト削減にも工夫を重ねています。


なかには、こだわりの飼料を牛に与えることで、生乳そのものの付加価値をあげることに取り組む酪農家もいます。

乳業メーカーとしてのよつ葉乳業の取り組み

様々な食品や飲料が市場にあるなかで、よつ葉乳業では「生乳の本来の魅力」を引き出し、「北海道の酪農家の会社」だからこそ作れる新商品を開発・発売することで、牛乳・乳製品の需要喚起をはかっています。

よつ葉乳業からは、初の機能性表示ヨーグルトをはじめとする7品目を2023年4月に発売しました。



また、よりこだわった飼料の給与や飼養管理によって、付加価値を高めた生乳から開発した牛乳・乳製品も販売しています。



そして、酪農を取り巻く環境が厳しい今だからこそ、おいしくて安心な牛乳・乳製品を皆さんへ届けるためにできることや、酪農業を持続可能な産業にするためにできることを、よつ葉独自の研修事業を通して酪農家と一緒に学び、考えています。


より良い飼料づくりと乳牛管理、高品質な生乳生産に取り組む酪農家から営農の技術を学ぶ若手酪農家たち

この研修のなかでは、酪農家とよつ葉職員が消費者の皆さんと直接交流し、意見を交わす取り組みも行っています。


消費者と直接交流して、ニーズを学び、生乳生産にかける想いを伝える(都内アンテナショップにて)

その他にも、地域の学校での食育イベント開催、牛乳・乳製品を使用したレシピの開発・発信、サンプリングイベントの開催などにより、牛乳・乳製品の魅力・価値の発信、需要喚起に取り組んでいます。


都内幼稚園での食育イベントで乳牛の大きさを体感する子供たち


2023年春に都内で実施したイベントの様子

よつ葉乳業の役割は、酪農家とお客様の架け橋になることです。


これからも皆さんに、「牛乳・乳製品はおいしい!」「この製品なら買って、食べてみたい!」「こんな酪農家の取り組みなら応援したい!」と思っていただけるような商品開発や事業に取り組んでいきます。

日本の酪農家のために牛乳をもう1杯!

ここまで牛乳・乳製品の値上がりについて解説してきました。

飼料や燃料、資材価格の高騰により、多くの酪農家の経営が厳しい状況にあります。


酪農家の離農を防ぎ、これからも国産の牛乳を飲み続けられるようにするには、国産の牛乳・乳製品の消費量を増やす必要があります。


日本の酪農家を応援するために、もう1杯!そして、もう1品! 牛乳・乳製品の消費にご協力をお願いします!

[参考文献]
※1:小売物価統計調査による価格推移.https://jpmarket-conditions.com/1303/
※2:NHK NEWS WEB.円安で餌代高騰に農家悲鳴 生乳値上げをメーカーと交渉へ.https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20220614/1070017365.html
※3:新聞赤旗.酪農危機打開へのろし.https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2023-03-19/2023031901_03_0.html
※4:RKBオンライン.「周りが酪農止めている」一斉値上げしても生産者はコスト吸収できず赤字?.https://rkb.jp/news-rkb/202211013613/
※5:NHK NEWS WEB.子牛が1000円? 価格が大幅下落 子牛に何が?.https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230118/k10013951921000.html
※6:日本農業新聞.[「まいちゃん」のニュース教えて!]牛乳なぜ値上げ?.https://www.agrinews.co.jp/news/index/119953
※7:時事通信ニュース.乳製品の値上げ相次ぐ=4月に「ビヒダス」「十勝チーズ」.https://sp.m.jiji.com/article/show/2888857
※8:メ~テレ.東海地方のニュース 「牛乳」に「ヨーグルト」 生活に身近な“乳製品”にも値上げの波 エネルギーコストの上昇が原.https://www.nagoyatv.com/news/?id=016076
※9:総務省統計局.小売物価統計調査(動向編)調査結果.https://www.stat.go.jp/data/kouri/doukou/3.htm
※10:北海道における酪農経営の離脱状況について (令和4年2月1日~令和5年1月31日).https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/8/4/2/5/4/0/9/_/%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E9%85%AA%E8%BE%B2%E7%B5%8C%E5%96%B6%E3%81%AE%E9%9B%A2%E8%84%B1%E7%8A%B6%E6%B3%81%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf