昨今の物価高騰は、パン作りの現場に大きな影を落としています。
小麦粉や乳製品、そして人件費。あらゆるコストが上昇する中で、多くのシェフが「いかに効率化し、コストを抑えるか」という難題に直面しています。しかし、福王子シェフの考えは極めて明快です。
「今の時代、材料も人も高い。そこで安易に材料の質を落として安く済ませようとすれば、それは結局、製品の価格を上げられないことに繋がってしまいます。それでは経営はよくなっていかないんです。」とシェフは警鐘を鳴らします。
シェフが提唱するのは、むしろ「良いものを使って、自分の店でなければできない価値を作る。」という攻めの姿勢です。大手と同じことをしていては個人店に勝ち目はありません。職人としての技術を磨き、それに見合う最高の素材を組み合わせることで、初めてお客様に納得していただける価格を設定できるのです。
こうした志を持つパン屋にとって、心強い味方となっているのが「よつ葉乳業」のECサイト。「開業したての頃や規模の小さいお店だと、なかなか問屋さんから思うように材料を卸してもらえない、という話を聞くことがあります。」とシェフ。
よつ葉のECサイトは、そうした制約が無く、1個単位から材料を直接購入できる点が非常に画期的だと評価します。「業者さんに頼んでも手に入らないという人にとって、ネットで買えるというのは本当に助かるサービス。パン屋にとって大きな助けになるはずです。」という言葉には、次世代のオーナーたちへの温かいエールが込められていました。
風見鶏のパンの「リッチな味わい」を支える隠れた主役が、よつ葉乳業の「濃縮乳」です。
POINT:よつ葉北海道濃縮乳とは?
「よつ葉北海道濃縮乳」は、北海道産の生乳を約2倍に濃縮した乳製品です。生クリームとも牛乳とも違う、パンやスイーツ作りに「ミルクの豊かなコクと風味をプラスする素材」として活躍します。
シェフは主に、カスタードクリームを炊く際や、パン生地にコクを出すための材料として長年愛用しています。
「濃縮乳は、カスタードに深みを出したり、生地のコクを引き出したりするのに欠かせません。例えばブリオッシュ生地に生クリームや牛乳と合わせて加えることで、牛乳だけでは決して出せない『厚みのある味わい』が生まれるんです。」
かつては他メーカーの製品を使用していた時期もありましたが、最終的にたどり着いたのは、よつ葉の製品でした。「他社製品だと、時に極端なクセや独特の変な味が出てしまうことがありました。その点、よつ葉さんの濃縮乳は、風味が非常に安定しています。この『安定感』こそが、毎日同じ品質のパンを焼き続ける私たち職人にとって、何よりの信頼に繋がります。」
さらに、濃縮乳は食感の調整にも寄与します。後述するクリームパンのカスタードにおいても、濃縮乳を使うことで、口当たりは滑らかながらも、舌の上にしっかりと旨みが残る「満足感のあるクリーム」へと仕上げているのです。
王様のクリームパン
風見鶏の商品ラインナップの中でも、ひときわ贅沢な存在感を放っているのが「王様のクリームパン」です。この名前には、素材と手間を惜しまないシェフのこだわりが凝縮されています。
このパンの最大の特徴は、中に閉じ込められた「2層の異なるクリーム」にあります。 「一つは、よつ葉の濃縮乳、生クリーム、牛乳を合わせて丁寧に炊き上げた、王道のカスタードクリーム。そしてもう一つは、後から注入する特別なホイップクリームです。」
製法も非常にユニークです。まず、カスタードクリームを少量入れた状態でパンを焼き上げます。すると、焼成中に生地の中に空洞が生まれます。焼き上がった後、その空洞を目がけて、もう一種類のクリームをたっぷりと注入するのです。
後入れされるクリームには、さらなる仕掛けがあります。「立てた生クリームに、ホワイトの生チョコを混ぜ合わせています。ホワイトチョコを加えることで、練乳のような力強いコクと重みが加わりつつ、食感は非常に軽やかになる。この重さと軽さの絶妙なバランスが、ブリオッシュ生地と最高に合うんです。」
よつ葉の濃縮乳が生み出す濃厚なカスタードと、ホワイトチョコが香る軽快なクリーム。この2種類が口の中で混ざり合う瞬間、まさに「王様」の名にふさわしい至福のひとときが訪れます 。お菓子屋さんのケーキにも引けを取らない、パン屋だからこそ表現できる贅沢の極みと言えるでしょう。
「良い素材を使い、自分たちにしかできないものを作る」。福王子シェフが語るその言葉は、シンプルながらも重みがあります。
物価高という逆風を、素材の力と技術で「価値」へと変えていく。よつ葉乳業の濃縮乳は、そんなシェフの自由な発想を支え、お客様を笑顔にする最高の一品を形にするための不可欠なピースとなっています。
妥協のない素材選びから生まれる、本物のおいしさ。風見鶏の「王様のクリームパン」を頬張れば、その確かな価値と、職人の情熱を感じていただけるでしょう。