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脱脂粉乳と全粉乳、バターミルクパウダー

乳製品の話

脱脂粉乳と全粉乳、バターミルクパウダー

パンやお菓子のレシピによく登場する「脱脂粉乳」。 一方、「代わりに牛乳を使えばいいでしょ?」
「使い方がよくわからない」といった疑問も、実は多いようです。
今回は、知っているようで知らない脱脂粉乳(スキムミルク)と全粉乳、バターミルクパウダーについてご紹介します。

更新日:2021年12月6日(月)


そもそも、脱脂粉乳とは?

脱脂粉乳(だっしふんにゅう)は、またの名を「スキムミルク」。漢字のとおり、生乳から脂肪分と水分を取り除き、粉状にしたものです。よつ葉乳業では、業務用の脱脂粉乳よりも水やお湯に溶けやすいように、粒子を大きく仕上げたものをスキムミルクとして家庭用に商品化しています。

よつ葉乳業の北海道スキムミルク

製菓・製パンで広く使われる脱脂粉乳・全粉乳・バターミルクパウダー

さて、脂肪分を取り除いた脱脂粉乳とは対照的に、脂肪分は残して乾燥させたタイプもあります。生乳そのままを乾燥させた「全粉乳(ぜんふんにゅう)」です。さらに、バターの製造工程で、クリームからバターを分離した後に残る液体(バターミルク)を乾燥させたのが「バターミルクパウダー」。これらは一般に「粉乳(ふんにゅう)類」と呼ばれる仲間同士で、製菓・製パンをはじめ、加工食品業界では広く使われています。

では、製菓・製パン業界のプロはなぜ牛乳の他に粉乳も使っているのでしょう? そして、どのように使いこなしているのでしょう? ここからは、「脱脂粉乳」と「全粉乳」、「バターミルクパウダー」について詳しくご案内。プロの発想や活用方法に迫ります。

脱脂粉乳と全粉乳、バターミルクパウダー

スキムミルク(脱脂粉乳)や全粉乳、バターミルクパウダーの栄養価は?

まずは、粉乳3種それぞれの栄養価をチェックしてみましょう。

よつ葉北海道脱脂粉乳(100gあたり):
 エネルギー:356kcal
 たんぱく質: 35.6g
 脂質: 0.7g
 炭水化物: 51.8g
 食塩相当量:1.1g
 カルシウム:1,200mg

よつ葉北海道全粉乳(100gあたり):
 エネルギー:494kcal
 たんぱく質:27.1g
 脂質:25.5g
 炭水化物:38.9g
 食塩相当量:0.9g
 カルシウム:940mg

よつ葉北海道バターミルクパウダー(100gあたり):
 エネルギー: 390kcal
 たんぱく質:31g
 脂質:7.3g
 炭水化物:50.1g
 食塩相当量:1.2g
 カルシウム:960mg


乳脂肪分をほとんど除去した脱脂粉乳(スキムミルク)は、脂質がきわめて低い一方、たんぱく質やカルシウムは豊富。かたや全粉乳やバターミルクパウダーには脂質も残っています。

ちなみに、全粉乳13gを90gの温水(50℃以上)で溶くと通常の牛乳、脱脂粉乳10gを約90gの温水で溶くと無脂肪牛乳とほぼ同じ濃さ・近い成分でご利用になれます。


脱脂粉乳には栄養がたっぷり

脱脂粉乳と全粉乳、バターミルクパウダーの使い分けは?

粉乳類には栄養が十分に温存されていることがわかりました。でも、製菓・製パンのプロが牛乳と同じ、またはそれ以上に粉乳をよく使う理由は、栄養だけではありません。

実は、粉乳には牛乳にない利点があります。それは、水分を足さずに乳風味を強化できることです。お菓子やパンの乳風味を強めたいとき、牛乳を使う方が手軽な場合も少なくありません。しかし、牛乳を足すということは水分も増えるということ。生地の水分量が最終製品の仕上がりや日持ちに大きく影響するお菓子やパンには、「ミルクの香りや甘みを足したいけれど、水分は増やせない」という制約のあるケースが多いのです。このようなときこそ、粉乳類の出番。そして、これぞまさに製菓・製パンのプロが粉乳を使う最大の理由の一つです。

それでは、脱脂粉乳と全粉乳、バターミルクパウダーはそれぞれ、どのような使い方に向いているのでしょう? 使い分けできるのでしょうか? 一つひとつ特徴をご案内します。

●脱脂粉乳(スキムミルク)

パンやお菓子からアイスクリームの材料まで幅広く使えます。製パン業界でも、通常パン作りに使うのは脱脂粉乳です。油脂分が少ないぶん、とにかく発酵がスムーズ。基本的にはどんなパンやお菓子にも使えて、向き・不向きがほとんどありません。とにかく扱いやすい万能選手なので、最初に使い始めるなら脱脂粉乳がおすすめです。よつ葉乳業では、粒子の細かい業務用の「よつ葉北海道脱脂粉乳」と粒子が大きくより溶けやすい家庭用の「よつ葉北海道スキムミルク」をご用意しています。


よつ葉乳業の北海道スキムミルク

●全粉乳

脱脂粉乳の代わりに使うと、ミルクのリッチでクリーミーな味わいを実感しやすくなります。また、やわらかく、しっとりとしたパンに焼き上がります。 一方、全粉乳に多く含まれる油脂分にはグルテンの形成を阻害しやすい側面も。パンの窯伸びや膨らみが不足したり、乳糖由来の香ばしさや焦げ色がやや弱くなったりする場合があります。

全粉乳の特性をパン作りに生かすなら、食パンのように、①よくこねることで、グルテンがしっかりと形成されやすい、かつ②ミルクの風味やしっとりふんわり仕上げたいパンに向いているといえそうです。 ちなみに、全粉乳を日本国内において大規模に生産しているのは、よつ葉乳業だけ。ちょっとした貴重品です。よつ葉乳業のオンラインショップでは、よつ葉乳業の北海道の工場で製造した全粉乳をお届けしています。


よつ葉北海道全粉乳

●バターミルクパウダー

脱脂粉乳(スキムミルク)とほぼ同じように、パンやお菓子作り、アイスクリームの材料などに利用できます。バターミルクパウダーならではの独特な甘みや香りがあり、脱脂粉乳の代わりに使うと、コクのあるミルクの味わいがふわりと広がります。全粉乳に比べて油脂分が少ないため、パン作りに使用する場合も、発酵は比較的スムーズ。スコーンなどさくさくと軽い食感に仕上げたい焼き菓子にも向くといわれています。

また、バターミルクパウダーは脂質中のリン脂質が高いため、乳化力が強いのも特徴です。お菓子やパン作りの際、生地の中に入れて練ると、生地がやわらかくなるという効果も期待できます。おすすめは、パンやパンケーキを作る際に、小麦粉の5~10%程度をバターミルクパウダーに代替すること。生地がなめらかでやわらかく、ふっくらと仕上がります。

さらに、欧米では、バターミルクパウダーをパンやお菓子だけではなく、スープやソースなどお料理のコクや風味づけに加えることも。スープやポタージュが水っぽくならないように、濃さを調節するのに便利な食材とされています。 風味の高さや取り扱いやすさ、利用範囲の広さ、お料理への応用しやすさなどから総合して、「一度使うと手放せない!」と熱烈な人気を集めているのがバターミルクパウダー。使ったことがない方には、ぜひ一度お試しいただきたいアイテムです。

なお、「よつ葉北海道バターミルクパウダー(1㎏)」は、甘性クリーム(非発酵クリーム)から得られたバターミルクを乾燥させたタイプのため、欧米に多い発酵タイプのバターミルクとは異なります。pHは通常の牛乳とほぼ同じで、酸味もありません。 もし海外のお菓子のレシピを使う場合は、弊社のバターミルクパウダー 13gを90gの温水(50℃以上)に溶かした後、プレーンヨーグルトと1:1で混ぜると、発酵バターミルクに近いものとしてご利用になれます。


バターミルクパウダーはパンケーキに混ぜて

まだまだある! 粉乳類の強み

栄養が豊富で、ミルク風味を強めたいときにも便利な粉乳類。ほかにも、粉乳類にはさまざまな長所があります。

まずは、なんといっても保存しやすさです。粉乳類は水分がほとんど含まれていないため、常温保存できます。乾燥して容積が少ないぶん、冷蔵庫の場所をとらないどころか常温保存の際も省スペースです。

ちなみに、賞味期限は全粉乳・バターミルクが製造日から270日、脱脂粉乳で365日。しかも、遮光性の高いアルミパック入りです。常温保存・省スペース・長い賞味期限……現実的な話ではありますが、業務用として広く利用されている理由は、粉乳類の高い機能性にもありそうです。

脱脂粉乳(スキムミルク)や全粉乳を常備して、いざというときの備えに

高機能な粉乳類には、ご家庭でもやや意外な使い道があります。それは、非常食です。粉乳類は、水があれば溶かして飲むことができ、汁物に加えれば栄養もボリュームもアップできる便利なアイテム。普段から製菓・製パンやお料理に使いながら、常に少し多めに常備しておけば、いざというときの備えにもぴったりです。

スキムミルクは非常食にも便利

粉乳類を上手に保存するには

保存性のよい粉乳ですが、開封前・開封後ともに常温での保存をおすすめします。冷蔵庫での保存はおすすめしません。冷蔵庫から出し入れする際に結露が生じると、その水分(湿気)でダマになり、溶けにくくなる可能性があるためです。開封後はジッパーをしっかり閉じて、直射日光の当たらない、涼しく乾燥した場所で保管してください。