パンにおいしいシリーズ誕生秘話

乳製品の話

パンにおいしいシリーズ誕生秘話

—開発担当に聞く、10年続くおいしさの理由—
今回は、よつ葉乳業のロングセラー商品「パンにおいしいシリーズ」をご紹介します。
発売から長くご愛顧いただいているこのシリーズ。
実際にお召し上がりいただいたことがある方も多いのではないでしょうか。
今回は開発担当へのインタビューを通して、「パンにおいしいシリーズ」がどのような想いから生まれ、どのような工夫によって長く愛され続けているのかをご紹介します。


パンにおいしいシリーズとは

「パンにおいしいシリーズ」とは、よつ葉乳業が展開する、パンとの相性が良く、毎日の食卓で気軽に楽しめるバター類のシリーズです。

北海道産の生乳からつくられたバターの風味を活かしながら、冷蔵庫から出したばかりでもバターナイフが入りやすく、パンに塗りやすいよう工夫しています。
現在では複数のフレーバーが展開され、オンラインショップでも多くのお客様からご好評をいただいています。
この「パンにおいしいシリーズ」は、今から約10年前に誕生しました。
パッケージは細かなリニューアルを重ねながらも、基本的なコンセプトや味わいは発売当初からほとんど変わらず、長く愛され続けている商品です。

「硬く使いづらいバター」をどう変えるか、から始まった

もともとバターといえば、 もともとバターといえば、四角い箱(カルトン)に入った塊タイプが主流でした。
ただ、皆さんも経験があると思いますが、

  • 冷蔵庫から出したばかりで硬い
  • ナイフで削るのが大変

という使いづらさがどうしてもありました。
「もっと手軽に、おいしく食べられないだろうか?」
そこから、新しい商品開発の検討がスタートしました。

ヒントになったのは“マーガリンの使いやすさ”

当時、比較対象として意識されていたのがマーガリンでした。
マーガリンは、

  • 冷蔵庫から出したばかりでもやわらかい
  • パンに塗りやすい

といった「使いやすさ」が大きな特長です。
この点をヒントに、
「バターのおいしさ」と「使いやすさ」を両立できないか? という発想が生まれました。

“空気を抱き込ませる”製法への着目

そこで採用されたのが、バターをホイップして空気を抱き込ませる技術です。
これにより、軽やかな口どけと、バターナイフが入りやすい硬さを目指しました。

  • 消費者調査や試食評価
  • コンセプトの調整
  • コンセプト調整
  • 試作と製造条件の検討

マーガリンの使いやすさをヒントに、バターのおいしさを活かしながら、なめらかで塗りやすい商品を目指して試作を開始しました。
消費者調査や試食評価、コンセプトの調整、製造条件の検討を重ね、現在の味わいへとたどり着きました。

最大の壁は「酸化」だった

ただし、ホイップするということは、気体を抱き込むことでもあります。
バターは空気中の酸素に触れると酸化が起こり、風味や香りが変化します。
そこで「パンにおいしいシリーズ」では、酸素による影響をできるだけ抑えるために、製法や条件の検討を重ね、窒素ガスを活用した製法を採用しました。
この製法によって、酸化を抑えながら、軽やかな口どけとバターナイフが入りやすい硬さを実現しています。

商品名「パンにおいしい」に込めた想い

「パンにおいしい」というシンプルな商品名ですが、決定までには多くの検討が重ねられました。
たくさんの案を出し、議論を重ねた末に、「誰にでも、パンと一緒においしく楽しんでいただきたい」という想いを込めて、この名前が選ばれました。
容器についても、従来の円形のプラスチックカップから見直しが行われました。
片手でも扱いやすい形状と、最後までおいしく使い切れる容量を目指し、現在の仕様にたどり着きました。

おすすめは「発酵バター」

現在は複数のフレーバーがありますが、特におすすめなのが発酵バターです。

開発当時、日本では発酵バターが洋菓子店やパン屋などの業務用として使用されることが多く、一般家庭にはまだ広く普及していませんでした。

  • ヨーロッパでは広く親しまれている
  • 日本では業務用中心

発酵バターならではの豊かな香りとコクを、家庭でもパンと一緒に気軽に楽しんでいただきたい。
その想いから、そのおいしさや魅力を家庭で手軽に味わっていただくためには、どのような商品にするべきかが大きなテーマとなりました。

日本人に合う“ちょうどいい発酵バター”を目指して

開発で難しかったのは、海外の発酵バターとの違いを打ち出しながら、日本人の味覚に合った豊かな風味と食べやすさを追求することでした。

  • 香りが強すぎると使いづらい
  • でも風味はしっかり残したい

そこで、

  • 食べやすい香りのバランス
  • 手に取りやすい価格
  • 日常使いしやすい味わい

この3点を意識して使用する乳酸菌を選定し、最適な発酵条件の検討を行いました。
その結果、「パンにおいしい発酵バター」は多くのお客様に受け入れられ、現在では人気商品の一つとなっています。

実は一度終売していた「はちみつ&バター」

人気フレーバーの一つである「はちみつ&バター」。
バターとはちみつを混ぜ合わせ、さらにホイップすることで、バターのコクとはちみつのやさしい甘さが調和した味わいと、なめらかな口どけが特長です。
そんな「はちみつ&バター」も、最初から順調だったわけではありません。
開発当初の商品は一定の評価をいただいたものの、期待したほど支持が広がらず、一度は終売となりました。
しかし、「もっとおいしくできるはず」という想いは開発チームの中に残り続けていました。
その後も改良を続け、

  • はちみつの種類
  • 配合バランス

を何度も見直し、
現在の「ほどよい甘さとコク」のバランスにたどり着きました。再発売後は大きな反響があり、現在でも人気商品として販売されています。

ひまわりオイルに込めたもう一つのこだわり

シリーズの中でも特徴的なのが、ひまわりオイルを配合した商品です。
バターは豊かなコクや風味が魅力である一方、冷蔵庫で冷やすと硬くなりやすいという性質があります。
そこで開発担当者が着目したのが、低温でも液状を保つ植物性油脂との組み合わせでした。
植物性油脂を加えることで、バター本来のおいしさを活かしながら、毎日の食卓でより使いやすい商品にできるのではないか。
そんな発想から、さまざまな油脂を比較検討する開発が始まりました。
開発チームは、風味や物性、バターとの相性など、さまざまな観点から複数の油脂を比較し、試作を重ねました。
その結果、バターのおいしさを活かしながら、パンに塗りやすい使い心地を目指す組み合わせとして、ひまわりオイルを採用しました。

シンプルな原料だからこそ、製法にも工夫を

マーガリンには、水と油という本来混ざり合わないものを安定した状態に保つため、乳化剤が使用されています。
一方、「パンにおいしい よつ葉バターとひまわりオイル」は、乳化剤を使用せずできるだけシンプルな原料で仕上げることを目指しました。
なめらかな使い心地と、バターらしいコクや風味を両立させることは簡単ではありません。
開発チームは、原料の組み合わせや製造条件など、さまざまな角度から検討を重ね、理想の品質を追求していきました。
その試行錯誤の中で大切にしたのが、「どうすればバター本来のおいしさをより活かせるか」という視点です。
風味や口どけ、使いやすさのバランスを追求しながら数多くの試作を重ね、現在の味わいへとたどり着きました。
「毎日使うものだからこそ、できるだけシンプルな原料で、おいしく楽しんでいただきたい」。
そんな開発担当者の想いと試行錯誤が、この商品の味わいにつながっています。

おすすめの楽しみ方

おすすめの楽しみ方

ここまでご紹介してきた「パンにおいしいシリーズ」。
さまざまな工夫やこだわりが詰まった商品ですが、まずはシンプルにパンと合わせて楽しんでいただくのがおすすめです。
特に、

  • 焼きたてのトーストにたっぷり塗る
  • バゲットにはさんでバターサンドにする
  • あんこと合わせてあんバターとして楽しむ

といった食べ方では、バターそのものの風味やおいしさを存分に味わうことができます。
「パンにおいしいシリーズ」は、素材の味わいを大切にしながら開発された商品です。そのため、特別な調理をしなくても、パンに塗るだけでしっかりとおいしさを感じられるのが魅力です。
ぜひ、お気に入りのパンと一緒に楽しんでみてください。

まとめ

「パンにおいしいシリーズ」は、ただパンに合うバターを目指して生まれた商品ではありません。
バター本来のおいしさを大切にしながら、毎日の朝食や家族の食卓で、もっと気軽に、もっと身近に味わっていただける商品をつくりたい。そんな想いから開発が始まりました。

よつ葉バターのおいしさをどう届けるか。
発酵バターならではの香りやコクをどう表現するか。
はちみつとバターの絶妙なバランスをどう形にするか。
そして、バター本来のおいしさを活かしながら、どうすればより使いやすい商品にできるか。

一見シンプルに見える商品の裏側にも、たくさんの試行錯誤や工夫が重ねられています。
発売から約10年。変わらないおいしさで多くの方にご愛顧いただいている背景には、こうした積み重ねがあります。
普段何気なくパンに塗っているそのひと塗りにも、開発に携わった人たちの想いが込められています。
次に「パンにおいしいシリーズ」を味わうときは、その背景にも少しだけ想いを巡らせながら、お気に入りのパンと一緒にお楽しみください。